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局赤から始まってそのうち青赤(R18) 後編
2006年2月11日 20:33:22 スレ567/565姐さん萌えをありがとう


 帰ろうとしたところで声をかけられて、抵抗しても腕を捕まれて、理不尽な思いを抱えたまま、成歩堂は12階へと連れられてきた。
「離してくれよ!」
 相手は御剣を連れて行った男。それだけでも疑わしいのに、彼の謎に満ちた態度は成歩堂の怒りを煽るばかりだ。しかしいくら抗議しようとも立場が変わりやしない。エレベーターから引きずり出されて辿りついたのは、1202号室だった。
「あんまり僕に逆らわないほうがいいと思うよ? ナルホドちゃん」
「なんでぼくの名前知ってるんだ」
「僕には知らないことなんてないんだよ」
 わけがわからない。だが、尊大な態度と、力強い目の光に萎縮してしまう。肉食動物に狙われた兎のようだ。彼が1202号室の扉を開けて、入室を促す。なんで御剣の部屋に? 連れていったのはあんたじゃないのか? 聞きたいことはいくらでもあるのに、成歩堂は抗うことができなかった。
 入ってみてすぐに気がついたのは匂い。ツンと鼻の奥に刺さる強烈な匂い。成歩堂にも覚えがある。当たり前だ。男なら誰でも知っている匂いだ。妙な気配を感じて目を左にスライドさせる。そこには、半裸でソファに寝転がる友人の姿があった。
「ミツルギちゃん待った? ごめんねえー」
 男が御剣に歩み寄る。御剣はよろりと上半身を起こした。その動きの緩慢なこと。潔い行動で周囲を圧倒する御剣検事からは考えられなかった。
 あれは本当に御剣なのか。
 顔や姿は御剣そのものなのに、成歩堂には信じられない。信じたくないのだ。
 吐きそうになって口を抑えた。それでも、赤いソファに伸びる御剣の白い足や、憂いのある顔から目が反らせない。
「お望みどおり、ナルホドちゃんを呼んできたよ。彼のほうがいいでしょ?」
 びくん、と御剣の身体が跳ねる。それを見て男は喉の奥で笑った。成歩堂へ視線だけよこして男は言葉を続ける。
「ミツルギちゃん、キミにやってほしいんだって。僕じゃあもうつまらないんだって」
 言われても意味がよくわからない。成歩堂は無意識にふるふると首を横に振った。
 なんなんだこれ。
「ナルホドちゃん、イヤみたいだよ? ミツルギちゃんからお願いしてみたら?」
 そう言う男の声色は、心底楽しそうだった。虫の身体をばらばらにするときの子どものような声。そのせいか、次に聞こえた御剣のかすれた声は、なかなか成歩堂には聞き取れなかった。


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2
2006年2月11日 20:33:43 スレ567/565姐さん萌えをありがとう
「……やく」
「もっと大きな声で言わないと、ダメだよ」
 革の手袋が成歩堂を招いた。紐で引っ張られるようにして、成歩堂はゆっくりとソファへと歩く。御剣のそばへと辿り着くと、膝立ちになる。前髪が邪魔で表情までは見えないが、御剣の頬が蒼白なことだけはわかった。
「早く……して、くれ」
 なにを? そう聞くのは残酷だ。
「成歩堂。頼む、から。お願いだ」
 主語がない。焦れた男が御剣の前髪を掴んで自分の顔に引き寄せた。突然の行為に御剣は抗うこともせず従うばかりだ。
「い……たッ」
「ミツルギちゃん。いつもどおりやればいいんだよ。僕にしてるみたいにさ」
 そのまま彼の頬をべろりと嘗める。その光景を目の当たりにして、成歩堂はぞくぞくした。これは興奮? いや違う。恐怖だ。
 どさりと、御剣の身体がソファへと解放された。後ろで縛られていた手の戒めも解かれた。やってごらん――そういう意味なのだろう。御剣はうつろな目のまま成歩堂に手を伸ばす。腕に触れられて成歩堂は身体を強張らせた。逃げたい。この部屋から走って逃げ出したい。それなのに身体が動かない。足がすくむのだ。ゆっくりと御剣の手は成歩堂の顔をとらえ、御剣の唇が成歩堂のそれに重なった。
「………!」
 唇が触れたかと思えば、すぐさま舌が口内に侵入してきた。唇の裏。歯と歯の間。それらをゆっくりとなぞったあと、舌を吸い取られた。初めて触れる御剣の舌は、軟体動物のように成歩堂の口内を動き回った。身体から力が抜けていく。心をとろけさせるような熱いキス。
「……や、め……っ!」
 強引に御剣の肩を押した。唾液の糸が二人の間に垂れる。スーツの袖でそこを拭うと、またしかけようとする御剣の姿が見えた。


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3
2006年2月11日 20:34:31 スレ567/565姐さん萌えをありがとう
「おまえ……何、考えてんだよ!」
「わからないのか」
 御剣の動きは止まない。それどころか今度は成歩堂の股間に手を伸ばす。いきなり触られて、背中が泡立つのがわかった。
「硬くなっているではないか。ちょうどいい」
 言葉とは裏腹に御剣の顔には相変わらず覇気がなかった。時々、確かめるように成歩堂の背後へと目配せする。そこにいるのはあの男だった。
「キミの、これを……」
 また目配せする。この男は御剣のなんなのだろう。少し長い沈黙のあと、御剣は吐き出すように喋った。
「私の中に入れて欲しい」
 布の上から御剣は成歩堂のペニスを揉みしだいた。長い指に覆われて、むくむくと大きくなっていくのが成歩堂にもわかった。
 わけがわからない。それでも身体は反応する。
 当たり前だ。15年も求めていた肉体が、目の前にあるのだから。
「成歩堂」
 御剣の手がベルトに伸びる。キスができるほど近い距離で、御剣は囁いた。
「助けてくれ……」
 それが引き金だった。
 成歩堂はもたつく御剣の手を払い、自分でベルトを外し、ズボンを下ろした。背広とワイシャツの前もはだける。
「男としたことないから我慢してくれよ」
 口にできる言葉はそれぐらいしか思いつかなかった。何かもっと言ってやりたい。彼の心を和らげてやりたい。そう思うのに、後ろからの視線がそれをさせなかった。
 恐怖におびえているのは自分じゃない。彼だ。
 成歩堂はソファに座る御剣の身体を抱えた。御剣が足を自分の腰に絡ませてくる。なんでそんなに慣れてるんだ。気にしないように心がけるのに精一杯だった。
「ちから、抜いて……」
 囁いてから深呼吸。そして成歩堂は腰を進めた。
「ああああ……ッ!」
 御剣自身の精液か、それとも別のものか。それらで少しだけ湿っていたにせよ、入り口は狭く小さかった。はちきれんばかりに怒張した成歩堂のペニス。あまりにも困難な侵入に、御剣のみならず成歩堂まで叫びだしたくなった。痛い痛い痛い痛い。だけど、彼の痛みはこんなもんじゃない。
「は、ぁ。なる。あ。あ……」


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4
2006年2月11日 20:35:30 スレ567/565姐さん萌えをありがとう
 できる限りゆっくりと侵入する。苦痛からか、御剣の目からは涙が溢れていた。ぺろり、とそこを嘗めてやると、一瞬体を硬くしたが、少し目元が穏やかになった。
「動くよ」
 合図と共に成歩堂は静かに動き始めた。ゆりかごを揺らすより優しく。時折彼にキスをしながら。ぴたりと身体をあわせると、彼の鼓動が成歩堂の胸にも響いた。速い。自分の音も彼に聞こえていればいい。
 セックスはつらいだけじゃない。そういうことを教えてやりたかった。
 だってぼくはずっとこうしたかったんだ。
「ん。あ、は……」
 御剣が成歩堂にしがみつく。耳元で聞く彼の喘ぎは想像をはるかにこえていた。布越しに伝わる肌よりも、ずっと刺激的だった。どくどくとペニスに血が集まる。十分に大きくなっていたはずなのに、御剣の内部を破らんばかりにそれは膨らんでいく。
 ずっと欲しかった身体が腕の中にある。そのことが、何よりも成歩堂を興奮させていた。御剣のキス。御剣の舌。身体。足。視線。息。たきつけられて腰の速度が増していく。
「ああ。あ、はや……な、るほど……ッ!」
 切れ切れの声で名を呼ばれる。そのことが嬉しかった。もう背後の視線も気にならなかった。成歩堂は少し身体を引いた。濡れた御剣の目。だらしなく開いた唇。紅潮した頬。やがてそれらのピントが合わなくなっていく。ああ、キスされる。彼の唇を受け入れると同時に、成歩堂は中で果てた。
「は、あああ……ッ!」
 呼応するかのように、御剣は大きく喘いで吐精した。むき出しのペニスから白く濁った液体が飛び出す。それは成歩堂の腹を濡らした。息を整えながら成歩堂はそれを手に取る。生温いどろりとした精液。指の上で休息に冷えていく。
「いやーいいモノ見せてもらったよ」
 一人だけの拍手が聞こえたのはそのときだった。御剣から身体を抜いてズボンを上げてから、成歩堂は後ろを振り返った。
 目と唇を半月型に曲げて二人を見下ろす男がいる。御剣を弄び、成歩堂まで巻き添えにした人物が。


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注意書き
2006年2月11日 20:44:36 スレ567/565姐さん萌えをありがとう
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下の記事に続いてます。
もうちょいです

局赤から始まってそのうち青赤(R18) 後編
2006年2月11日 20:32:45 スレ567/565姐さん萌えをありがとう
「ミツルギちゃん、気絶しちゃったみたいだね」
 そんな男から御剣の名前が呼ばれるのが腹立たしい。
「よっぽどナルホドちゃんのがよかったのかな? 若いってホントいいねえー」
 どこの誰かは知らない。けれど、憎むには情報が十分にあった。もはや成歩堂の中に恐怖は存在せず、ただ怒りだけが彼を動かしていた。
「あんた……」
「ん?」
「一体、誰なんだ……!」
 憎い相手の名前ぐらいは知りたかった。男は目をしっかりと見開いて、成歩堂を見下ろす。その眼力。たじろぎそうになる足をこらえる。ここで引いたらダメだ。
「そのうち、わかるよ」
 先程までのテンションとは裏腹な、重厚な声。
「わかったところで、ムダだけどね」
 彼はそう言って歩き始めた。重厚な扉を開いて部屋から出て行く。聞こえたのは扉が閉まる小さな音なのに、舞台が終わった後のようなインパクトがあった。そう、まるでパイプオルガンのコンサートのような。
 成歩堂はワイシャツのボタンをとめ、背広を羽織る。腹についた精液はティッシュで拭った。ソファに横たわる御剣は、まだ起きる気配がない。誰のものかわからない精液と血で汚れた体。頬が涙で濡れていた。残っていたティッシュをすべて使ってそれを拭ってやる。
 それでもまだ足りない。
 助けてくれと、確かに彼は言った。それはどういう意味なのだろう。ただ単にセックスを求めたと思うほど、成歩堂はバカではない。もしそれが御剣の本心だとしても、こんなところで、あんな状況で求めてくるはずがない。
「あいつ、誰なんだよ……」
 成歩堂にわかるのは、あの男がすべてを握っているということだけだった。名前すら知らない大男。ただひたすらに荘厳なオーラを纏っている。
 あいつさえいなくなれば、助けられる?
 それすらもわからない成歩堂には、ただ御剣を拭ってやるしかできなかった。
 あまりにも、ささやかなことだけれど。


 翌日、3人は合間見えることになる。すべての真実が明るみになる、裁きの庭で。


おわり


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注意書き
2006年2月11日 20:37:19 スレ567/565姐さん萌えをありがとう
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1個下の記事から読んでください。
わかりにくくてスマソ

局赤から始まってそのうち青赤(R18)
2006年2月10日 0:27:18 スレ567/565姐さん萌えをありがとう
 それはただの偶然だった。
「あ」
「ム」
 警察官殺害事件の審理は明日から。担当検事は御剣怜侍。弁護人は成歩堂龍一。昨年末の事件がきっかけで、二人が古い友人であることは、検察局内部にも知れ渡っていたのに、どんなめぐり合わせかと、誰しもが疑問に思っていた。そして被告人は、御剣の直属の上司でもある宝月巴。偶然にしてはできすぎている。
 彼らがここで会うことも、できすぎている。
 審理の初日を明日に控えた検察局はごったがえしていた。なんといっても敏腕の上級検事が被告人なのだ。どこかから嗅ぎつけたマスコミはわらわらとやってくるし、彼女が抜けた穴を補うのもつらい。おかげで、成歩堂龍一は弁護士にもかかわらず、やすやすと中に入れたのだけれど。少し気分転換を、と執務室から出た御剣は、ぼやけた顔の幼馴染に出会うなり眉を潜めた。
「こんなところで何をしている?」
 彼はこともなげに答える。
「仕事」
 それはなおさら厄介だった。
「ならば事務所に帰りたまえ。ここにはもう、キミが求める証拠品はない」
「それを決めるのはぼくだよ。……検察に隠蔽されたものも見つかるかもしれないしね」
「なんだと!?」


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続き
2006年2月10日 0:27:55 スレ567/565姐さん萌えをありがとう
「きれるなよ。図星すぎて痛いのか?」
 御剣は、胸倉を掴みたくなる衝動をこらえた。ここは職場だ。そのかわりに、成歩堂の視線から自分のそれをそらせる。見ていられなかった。
 証拠の隠蔽。証言の操作。狩魔豪が法曹界から消えてから、そんな噂がひっきりなしに御剣の耳にも届いていた。それまでは各々の胸のうちで抑えられていたタネが、御剣の二度の敗訴と、狩魔豪の大罪で一気に噴出したのだ。
 まさか、そんなことは。そう思う。私はやっていない。そう信じている。
 それでも、御剣にとって成歩堂の言葉と視線は、どんな槍よりも痛い。けれど彼は食い下がらない。
「巴さんの部屋、見せてほしいんだけど」
「私が許可すると思っているのかね」
「思ってる。痛くもない腹探られるのはイヤだろ」
「弁護士が証拠を握りつぶすということもありえる」
「……ッなんだよそれ!」
 血の気が多いな。御剣がこらえた衝動を成歩堂は解き放った。彼は御剣のフリルタイに手を伸ばし、それを握り締める。急激に近寄った顔は、接吻できるほどにそばにあった。たまらなくなって御剣は目を閉じる。それでも、呼吸が聞こえた。
 彼はどうなじるのだろう。
 けれど罵声を浴びせられることはなかった。それどころか首もとの戒めはすぐに解かれた。御剣が目を開けると、腕を持ち上げられた成歩堂が目に入った。彼の腕を掴むのは、黒い皮手袋。
「ミツルギちゃん。なーにやってんの?」
「いたたたたッ! はな、はなしてくださいよ!」
「キミがナルホドちゃん? こんなとこで弁護士と検事がイチャイチャしてたらダメでしょ?」
「なに言って……!」


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2006年2月10日 0:28:12 スレ567/565姐さん萌えをありがとう
 そう言って、その男は成歩堂の手を解放した。額に汗を浮かべながら成歩堂は男の顔を見上げる。御剣はまた目を反らそうとした。けれど、彼に見つめられては身体を動かすことができなかった。それほどの、眼力がこの男にはある。
「巌徒……局長」
 名を呼ばれた男はにっこりと微笑んだ。
「今日はね、ミツルギちゃんに用があって来たんだよ」
 今度は御剣の肩に手が置かれた。ずっしりと重い。大きな男の身体越しに見る成歩堂の顔は、わけがわからないといった表情だ。
「ちょっとあなた。ぼくだって彼に話があるんですけど」
 無駄だ。そんなことを言っても。成歩堂の言葉など彼の耳には届かない。
「さあ、行こうか。ミツルギちゃんの部屋がいいよね? マイルームのほうが落ち着くよね?」
 頷くしかなかった。
「……はい」
 そのまま御剣は巌徒について行った。背後から彼を呼ぶ成歩堂の声が聞こえた。けれど無視した。これからのことを彼には知られたくなかった。


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2006年2月10日 0:28:39 スレ567/565姐さん萌えをありがとう


 執務室に入ると、御剣はまずジャケットを脱いだ。ハンガーにかけてしかるべき場所にしまう。その間に相手はソファへと腰を下ろす。けれどその隣に座ることは、御剣には許されていないのだ。
「いつもの、よろしくね」
 巌徒は大きく足を開いた。そこが御剣の指定席だった。御剣は何も言わず、そこに膝立ちになる。
「失礼……します」
 橙色のジャケットの前だけをはだける。上等の皮のベルトをはずし、スラックスのファスナーに手をかける。ファスナーが動く音だけが室内に響いていた。絹のボクサーブリーフから、中に収まっているものを取り出す。初めて見たときはその大きさに唸ったけれど、もう見慣れていた。大きく口を開けて先端にしゃぶりつく。
「んっ……」
 歯を立てないように。舌をよく動かせて。唇で包み込むように。何度も何度も言われてきたことだった。唇の裏側に当たる竿の感触は生温く、ちりちりと唇に触れる陰毛はむずがゆい。茂みの中にある睾丸を手でいじりながら、ただひたすらに口の中に意識を集中させていく。
 ――カルマちゃんがいなくなって、寂しい?
 そう声をかけられたのは年が明けてすぐのこと。あのときは、これまで師と仰いできた人間を、あらゆる意味で失った御剣に対し、気を遣っているのだろう。そう思った。
 ――じゃあ、代わりになってあげるよ。
 その言葉の意味は図りかねた。だから曖昧に返して流した。否、そのつもりだった。真意が明らかになったのはその晩だった。深夜近くに御剣の執務室へとやってきた巌徒は、彼に身体を要求した。
 ――だって、寂しいんでしょ? ミツルギちゃん。
 検察局で絶対的な権利を得ていた狩魔豪。弟子の御剣がいくら有能とはいっても、彼の存在なしにはここまでの地位に登りつめることは不可能だった。その狩魔豪がいなくなった今、御剣を蹴落とそうとする輩も少なくはない。無罪であったとはいえ、被告席にたったこともある。師匠は犯罪者だ。弟子だって何をするかわからない……。
 ――助けてあげるから、さ。


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2006年2月10日 0:29:02 スレ567/565姐さん萌えをありがとう
 脅迫にも似た甘い囁きに、御剣は身体を開いたのだ。
 そこからは頭を使わないほうが楽だった。ただ口と舌を動かして、言われるがままにしていたほうがよかった。今も同じだ。含めば含むほど硬くなるペニスに手を添える。指を使ってゆっくりとしごく。亀頭から汁が垂れるようになったら、よく音を立てて吸ってやる。カリの部分が一番いいのか、そこを突付いてやると巌徒はいつも機嫌がよかった。根元から裏筋。睾丸まで。歯と歯の間に陰毛が挟まるほどにしっかりと嘗め上げる。最後に大きく全体を吸うと、口内に射精された。
 どろりとした精液の感触。鼻につく匂い。もう慣れた。飲み干してしまえば跡形も残らない。
「上手になったねえ」
 ぐしゃ、と前髪をつかまれた。上を向けということらしい。ペニスを口から抜き、舌だけそこへ這わせたまま、御剣は視線を上げた。色のついた眼鏡の向こうにあるのは、大きな青い瞳。その中に自分の顔があった。
「ほーんと、カルマちゃんにこっちは教わらなかったの? それとも、ヘタクソだったの?」
「………」
「僕が聞いてるんだよ」
「!」
 スラックスの隙間から手を差し入れられる。革の冷たい感触が、御剣の臀部をなぞった。ベルトを引きちぎらんばかりの勢いで、巌徒は手をずらしていく。
「は、まっ……」
「聞こえないなあ」
 答えるまで彼はやめない。そんなこともわかりきっていた。これはゲームだ。遊びだ。拷問ではない……。喉の奥から声を絞り出す。


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2006年2月10日 0:29:49 スレ567/565姐さん萌えをありがとう
「せん、せい、は……」
「ん?」
「なさらな、かっ、た。です……」
「そうなの? 可愛がってもらったんじゃないの?」
「……おくさまを、だいじ、にしてらした、ので」
 双丘の割れ目をなぞる皮手袋。温かさを微塵も感じさせない。それは目の前の男本人を的確に表していた。冷たいナイフの縁で触られるような。危険と隣り合わせの感触。
「じゃあミツルギちゃんの片想いだったんだねえ」
 するりと、手が抜かれた。ほっとしたのも束の間、今度は足で股間をなじられる。
「………!」
「脱いでいいよ」
 すなわち脱げということだ。男の体液と自分の唾液で濡れた手を、ベルトにかける。あまり時間をかけていると手痛い仕打ちが待っているのは、経験でわかっていた。素早く御剣はスラックスを脱ぎ捨てた。下着も一緒に。そして、いつもそうしているように、巌徒にまたがった。
「若いっていいねえ。身体に張りがある」
 巌徒が御剣の足をさする。毎日の階段での往復で鍛えられた彼の足はまるで鋼のようだった。太腿の裏を手が往復している。本当に触れてほしいのは、そのもっと上。内部へと通じる穴なのに、彼は御剣がせがむまで絶対そこには触れようとしない。かといってすぐに願えば「つまらない」と吐き捨てるのだ。
「あり……がと、ございま、す」
 俯くと目に入るのは自分のそりかえったペニス。こんな辱めを受けて興奮するなんて。自分で自分がイヤになる。先走りの液は竿を伝い、太腿の付け根まで濡らしていた。巌徒はそこに触れて音を鳴らす。自分の甘い吐息と淫らな粘着音。


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注意書き
2006年2月10日 0:32:44 スレ567/565姐さん萌えをありがとう
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下のスレに続きます。

局赤から始まってそのうち青赤(R18)
2006年2月10日 0:31:17 スレ567/565姐さん萌えをありがとう
「あ……は、ぁあ……」
「いいね。いい声だよ。ミツルギちゃん」
「あ、ぁああ。も、う……ッ!」
「もう?」
 じりじりと手が秘部に近づいてくるのがわかる。早く。早く。この屈辱を終わらせてほしい。
「くださ……い……ッ!」
 冷たい皮が御剣のペニスに触れた。思わず声をあげてしまうほどに突然だった。
「ひ!」
 ぐちゃぐちゃにペニスが握りつぶされる。タオルでも絞るかのようにきつく。折れるのではないかと心配になるほどだ。
「い、ぁ……あっ! あ」
「まだイっちゃダメだよ?」
 御剣の体液でじゅくじゅくに濡れた手を、巌徒は後ろに回した。ああ、来る。やっと来る。そう思ったのに、彼の指先は御剣の入り口に触れてはこない。ただ臀部を撫でくりまわすだけだ。赤子の頭でも撫ぜるかのように、優しく。
「あ、あ、あ……」
 たまらなくなって、御剣は自分の手を己に伸ばす。けれどそれは許されなかった。戯れに御剣のタイに触れた巌徒の手は、それをあっさりと抜き取った。巌徒はそのまま悠然とした動きで御剣の手を誘導した。自分の両手が背中に回されても、御剣には抵抗する術もない。
「僕が言ってないこと、しちゃダメ」
「や、め……」
 先程のペニスへの戒めほどにきつく、御剣の両手がつながれた。これでは何もできやしない。
「お仕置き、これじゃ足りないよね」
 もう彼は尻を触ることすらしなかった。自分の上から御剣をどかせて、彼をソファに横たえる。今度こそ、くる? 期待にもにた予感はあっさりと裏切られる。
「ちょうど、お客さんを呼ぼうと思ってたんだ。きっとミツルギちゃんも気に入ると思うよ?」
 巌徒の言葉のあとに聞こえたのは、扉が閉まる音だけだった。熱をたきつけられたまま、御剣は放置された。
 誰を連れてくるというのだろう。他のお偉方だろうか。それとも誰とも知らない下っ端だろうか。
 御剣は目を閉じた。眠ってしまいたいと思った。それでも熱は彼にまどろみすら許さなかった。
 この熱を治めてくれるなら、誰でもいいとすら思った。



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注意書き
2006年2月10日 0:33:49 スレ567/565姐さん萌えをありがとう
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上のスレから読んでください。
続きは明日以降〜。

赤→青前提赤×青を霊媒中のマゲ(だけど結構普通に赤青)
2005年11月4日 10:23:01 863/物質化に挑戦
「私は、君が好きなのだ、君を愛している」
「だ、駄目だよ御剣!これは真宵ちゃんの体で…っ」
私の体を押し返す成歩堂を強く抱きしめて、愛を告白する。
私はずっと成歩堂への想いを抑えてきのだ
欲しいと求める心を悟られないようにずっと
死ぬまで気持ちを明かすつもりは無かった。
この想いを、墓場まで持って行くつもりだったのだ。
だがあの日、
「死ぬな!死なないでくれ!」
冷たくなっていく成歩堂の体を抱きしめながらした告白を思い出してしまう
「好きだ…」
思わず口を突いて出た告白は鳴咽に消えて…
私は強く後悔をした。
こんな事なら、想いを伝えておけば良かったと、悲しみと後悔が襲って来た事を嫌でも思い出してしまうのだ

激情は、その体が真宵君だとわかっていても止められそうになかった。
「すまない真宵君…すまない成歩堂…」
私は、そのまま、 真宵君の体ごと、成歩堂を事務所の長椅子に押し倒した。


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続き
2005年11月4日 10:26:08 863
何故こんな事になったのか
それはとても解りやすい
「御剣検事、今日、仕事が終わったら事務所まで来て下さいね」
真宵君からそう言われ、成歩堂の事務所を訪ねたら、そこには真宵君の格好をした成歩堂が居た
ただそれだけの話だ
私は霊媒等信じてはいなかったし、そんなものはインチキであると思っていたが、目の前に居るのは間違いなく成歩堂だった
目の前に死んだ最愛の人間が現れたのだ。
しかもあんな別れ方をして、
私が正気で居られるはずがなかった。
「い、いやだ…っやめろよ御剣っ」
私はいまだに抵抗を続ける成歩堂、いや、もともとは真宵君のだが…
の体に指を這わせる
その身体は温かく、逆にそれが私に、あの時抱きしめた成歩堂の。
冷たくなっていく体温を嫌でも思い出させた。
私は、恐かった。
成歩堂を失ってしまうことが
もう会えなくなる事がどうしょうもなく恐かったのだ。


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続き
2005年11月4日 10:35:42 863
「だが君は今こうして私の前に居る…」
私は、成歩堂の足を担ぎ上げると、そこに自分自身を添えた。
「ずっとこうして君と抱き合いたかった…」
「だ、駄目だって!こんな事いけないよ!」
震えならがら言う成歩堂の言葉に、私は一瞬ためらった。
成歩堂のものではない長い髪が、私を現実に引き戻す。
これは真宵君の身体なのだと改めて自覚する。
だが、私はすぐに成歩堂の中にソレを挿入した。
「成歩堂っ…」
「あああっ!」
罪悪感で心が痛む。
自分の身勝手な想いを成歩堂にぶつけて、真宵君まで巻き込んで。
だが、もうこの想いを私自身ではどうする事もできなかった。
私は、罪悪感と成歩堂への想いに、体を引き裂かれそうになりながら、ひたすらに腰を動かし続けた。
心で涙を流しながら…

赤受けリンカーン(R18)
2005年10月11日 3:31:33 246/マジで萌えをありがとう
222さんのSSに勝手に補完…。
設定は222さんと同じです。先に↓の222さんのを読んでくれたほうがいいかも。


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1/4
2005年10月11日 3:42:55 246/マジで萌えをありがとう
 手に持ったまま長い時間動かなかったペンを、私は一度デスクのペン差しに戻した。目の前には、これまた長い時間真っ白なままの紙が鎮座している。
 以前から考えていたことではあったのだ。今回の事件で腹は決まった。
 心残りがあるとすれば。
「――成歩堂……」
 唇を噛んで、涙か――もしくはもっと他のものを堪えているような眼で、それでも驚きと侮蔑の入り混じった私の視線から目を逸らそうとはせずに、血を吐くような声で「頼む……」と呟いた成歩堂。
 最初は、何を血迷ったのかと思った。次に、悪い冗談か何かと思った。だが、どちらも違った。至って本気だったのだ、あの男は。
 私がどんな男なのか…何をしているのか。それも知らずに。あのようなことを。
 吐き気がした。本当に馬鹿な男だ。馬鹿だ馬鹿だとは思っていたが、ここまでとは思わなかった。何を考えているのだ。悪態を吐けば吐くほど、成歩堂への軽蔑の感情を高めれば高めるほど、白々しさと自己嫌悪に息が苦しくなってくる。
 私が本当に軽蔑しているのは…悪態を吐きたい相手は……成歩堂などではないのだ。
「……やめよう」
 考え事をしていても、目の前の紙は埋まらない。
 頭を振り、一度席を立った。12階にあるこの部屋からの眺望は良い。ガラスに張られた世界。それだけで、別次元のように思えてくる。人間など、所詮矮小な存在でしかないのだ。……無論、この私自身も。
 溜め息をつこうと小さく息を吸い込んだ瞬間、デスクの上の電話が鳴った。不意をつかれ、思わず小さく肩が跳ねる。
「誰だ……」
 緊急以外の電話は通すな、と言っておいたはずだが。いぶかしく思いながら受話器を上げる。もしもし、と口にしようとした瞬間。
『ああ、御剣ちゃん?』
 聞こえてきた、聞き慣れたバリトンの声に、私の体は硬直した。



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2005年10月11日 3:37:34 246/マジで萌えをありがとう

 いつもの、薄暗い部屋。数ある資料室のうち、ほとんど使われることのない古い資料をまとめた部屋だ。段ボール箱やら使われなくなった警察署のポスターやら何やらまで詰め込まれていて、資料室とは名ばかりの物置のような部屋だった。こんな部屋は早く片付けて、もっと他の有用なことに使えばいいと、常々言っているというのに。お役所というのはこういう時に動き辛いものだと思う。
 最初、2、3人だと思っていた男達は、鍵を閉める音が聞こえて薄闇に目が慣れてくると、もっと多いことがわかった。
 ……人数など、今更どうでもいいことかもしれないが。
「今回は大変でしたね、御剣検事」
 白々しい台詞が耳をくすぐる。聞き覚えのあるその声は、警察局の上部の者だ。声とは反対の方向から伸びてきた手が背中に触れる。
「…御託はいい。やるなら早く終わらせてくれ。私は用事があるのだ」
 自ら上着を脱ごうとした私の手を、誰かの手が止めた。
「まあまあ。そう焦らないでくださいよ」
「ゆっくり楽しもうじゃないか、御剣くん」
 脱がせる楽しみっていうのもあるんだからさ。後ろから耳を噛む口が囁いた。背中がぞくりと震える。
 緩く頭を振る。その頭を押さえられ、再び耳を舐められる。息を吐くと、上着が脱がされた。…どちらにせよ脱ぐのだから、私が自分で脱いでもさして変わらなかったように思うのだが。
「はい、御剣検事。お願いしますよ」
 少し若い(それでも私よりは一回りは年上だ)男が、ニヤニヤと笑いながら私の頭に手をやる。下を向かされ、その意味を把握し、私は地面に膝を付いた。男のスーツのファスナーを下ろし、口を開く。同時に後ろと横から伸びてきた手が、少し乱暴に私のシャツとズボンを脱がせ始めた。焦るなと自分で言っておいて、ずいぶんな余裕の無さだ。反吐が出る。
「…ふ…」
 数が多く、手馴れてもいる男達の手により、私の体からはすぐに衣服は剥ぎ取られた。
 腰回りを撫でた手が、性急に足の間へと滑り込む。内股を撫でる。尻肉を掴む。いくつもの手。何人いるのだろうと今更のように思う。
「…も、いいっすよ。そんなモンで」
 私の頭を押さえていた男が、はあ、と息を吐きながら囁いた。生臭い肉棒から口を離す。
「どうせなら、下のクチで楽しみたいしね」
 罪を犯したものにそれを償わせる、毅然とした誇りをもっているはずの検察官も、一皮剥けばこんな連中なのだ。
 ――私は、何を見てきたのだろう。


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3/4
2005年10月11日 3:38:14 246/マジで萌えをありがとう
 口を離し、腰を持ち上げられた私は、本格的に四つん這いの格好になった。羞恥を感じないはずはない。だがそれも今更だ。
 無遠慮に指が入り込んでくる。優しさや快楽など最初から期待してはいない。それでも息が詰まった。奥まで入ることはせず、入り口を広げるように何度か左右に動くのが感じられる。機械的な動き。感情の無い分、いっそ気が楽なのかもしれなかった。自分の体も、今だけは感情のない機械になってしまえればもっと楽なのだろうに。
 拡張作業はすぐに終わった。詰めていた息を吐く。気を抜けるのはこの時だけだ。
「じゃ、ちょっと先に失礼しますよ」
 最初の男の声がして、腰が抱き上げられた。押し当てられたモノが温く濡れているのは、当然私の口淫によるものだ。
「あ、うあぁ…ッ」
 一気に貫かれ、思わず声が漏れた。咄嗟に唇を噛む。
「ぅ、ん、んっん…ん」
 気遣いも遠慮もない動きに、それでも声が漏れそうになるのは、単に物理的な刺激のためだ。だというのに。
「いいんだよー、御剣くん。無理に声を堪えなくても」
「いつもみたいにヨがってくださいよォ」
「大丈夫ですって。防音は完璧だし」
 髪を、顎を掴んだ手が、私の頭を持ち上げる。上を向かされてしまえば、唇を噛むことはできない。緩んだ私の唇が、指先でこじ開けられる。同時に後ろから乱暴な突き上げ。
「ああぁぁっ」
「…中、出していいんすか?」
「そのほうが床が汚れなくていいんじゃないかな」
「大変なのは御剣くんだけどね」
「いいんじゃないのか。中に出されるのも好きなんだろう?」
 勝手なことを言う男達の声が、どこか遠くに聞こえる気がする。
 意識を、理性を手放すには、まだ早かった。いっそ理性など放り棄てて、ただの獣と化してしまえば楽なのかもしれなかったが。獣になれる勇気もなかった。私は臆病者なのだ。
 揺さぶる男が私の中で達し、呻き声と共に引き抜かれると同時に、私の体は仰向けに転がされた。熱の上がり始めた体に、床の冷たい感触はいっそ心地良い。
 自分の意思で体を動かすよりも先に、両脚が持ち上げられた。床に転がされて脚を持ち上げられては、私に成す術はない。
 男に取り囲まれて、衣服を剥ぎ取られ、床に転がされ、脚を開かされて。さして抵抗も見せずに、成すがままに男達の玩具となる私の姿を見たら。あの男は何と言うだろう。
 自分に対して同じ行為を求めたあの男は。


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4/4
2005年10月11日 3:39:08 246/マジで萌えをありがとう


「しかし、巌徒局長も人が悪いよなぁ」
「突然だもんな。声かけられたの」
「いつもは事前に通達があるものだが…今日は随分と唐突だったな」
「その割にはお前達、集まったな」
「まあ、そろそろかなーと思ってましたしね」
「御剣検事も、毎回よくやるねえ」
「このぐらいの意気込みがなくちゃね。他の若い者にも見習わせたいものだよ」
「問題発言ですよ、部長」
 妙に場違いに思える呑気な口調での会話を聞きながら、私はぐったりと床に横たわっていた。起き上がろうにも、体に力が入らない。荒れた呼吸は、まだ整いそうになかった。
「巌徒局長といえば、あの…何でしたっけ。ほら、この前の事件の担当の弁護士」
「ああ、あの…何だっけ。トンガリ頭の」
「そういえば、ずいぶんお気に入りのようだったね。あの弁護士を」
「局長は、狙った獲物は逃がさないからなあ。案外、あの弁護士も危ないんじゃないかね?」
 そういえば。ぼんやりと思い出す。
 ナルホド君が自分に聞きたい話があるそうッスから、と糸鋸が言っていたのは、確か今日ではなかったか。
「――……」
 成歩堂の名を呟こうとして、私は失敗した。精液が絡み付き、悲鳴に嗄れた声帯は、思い通りに言葉を紡ぎ出すことができなかったのだ。

『検事としてのお前を生かすのも殺すのも、お前次第なんだ』
『……法廷で、待ってるからな』

 あれから繰り返し頭の中に流れている成歩堂の声が、再び反響する。
 腹は決まった。覚悟もできている。
 心残りがあるとすれば。
「…――……」
 すまない、と呟こうとして、私はまた失敗した。

赤青?前提局長青(R18)
2005年10月10日 21:42:57 222/穴があったら入りたい
スレ219、222前提でお願いします(219さん萌え燃え改めてありがとう)。

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「何ぼんやりしてるのかなぁ?」
 耳に心地よいような気がしないでもないバリトンが、下半身の不快感から逃避しようとしていた僕を容赦なく現実に引き戻す。
 いくつものモニターがこの建物のあらゆる場所を映し出している。
 その画面のうちのひとつを、僕はぼんやりと見上げた。
 その部屋の監視カメラは、映し出すには問題のあるものを無感動に映し出している。
 何人かの男に組み敷かれた、男の肢体。周囲にはその男のものと思しき衣服が散乱している。
 モノクロの映像でも、わかる。
 あのスーツの色は、赤に違いない。
「ほら、またぼんやりしてるねぇ、ナルホドちゃん?」
「……っ!?」
 背後から伸びてきた黒手袋に顎を掴まれ、僕の視線がモニターから逸らされた。
 無理矢理振り向かされて、身体中に痛みが走る。
 痛みをこらえる僕にお構いなしに、黒手袋の主は状況に似合わぬ朗らかな笑顔を浮かべた。
「ちゃんと、こっちにも集中してよね」
 首筋に顔を埋められて、歯を立てられる。
「痛っ」
「あんまり大きな声出しちゃダメだってば。見つかったら、僕まで危ないんだから、さ」
 口をふさいでる手、黒手袋ごと噛みついてやろうか。そんなことを考えたが、
「まぁ、僕はどうにでももみ消せるけど、君は無理でしょ? 大変だよねぇ、弁護士さんも」
「だったら……こんなコト、やめてくださいよ……巌徒局長……」
 状況が悪すぎると、せめて相手を睨みつけることしかできなかった。


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赤青?前提局長青(R18) 2
2005年10月10日 21:43:50 222/穴があったら入りたい
 この、人を食った初老の男に突然呼び出されたのは、今日の夕方。
 捜査が終わって、警察署を出たところで呼び止められた。
『良いモノを見せてあげようか、ナルホドちゃん』
 良いモノ? 首を傾げる僕をひきずって車に乗せて向かった先は捜査の現場のひとつだった、検事局の駐車場。
 響華さんが巴さんの事件を見たという警備員室へと部外者の僕を連れて難なく入り込んで――そもそもこの人だって部外者ではないだろうかとも思ったが、あえてツッコミはやめておこう――さらにその奥のモニター室へと誘われた。
 モニターと機械音だけの静かな部屋の中、いくつものモノクロ映像とたくさんの機器に目を奪われていた僕の肩を叩いて、局長はとあるモニターを指差した。
「アレ、随分お楽しみ中だと思わない?」
 音声の入ってこない映像。
 モノクロでも身なりの良い服装だとわかる壮年の男たちが、見覚えのある背に手を這わせていた。
 映像に映っていないところで何が行われているか、カメラのアングルが変わるたびに映し出される顔がすべて物語っている。
「み、御剣……!?」
 顔から、血の気が引いていくのがわかった。
 な、何やってるんだよ、アイツ……。

 僕にあんな顔しておいて、お前はなんなんだよ……!


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赤青?前提局長青(R18) 3
2005年10月10日 21:44:12 222/穴があったら入りたい
 拳を作った手が、どんどん白くなっていく。
 その手を、黒い手が包み込んで指先を開いていった。
「ナルホドちゃんが知るワケないかぁ。
 アレが、ミツルギちゃんが可愛がられてる、っていう意味だよ。よくやるよね」
 ニヤニヤと、人の悪い笑みを浮かべる男。その目はちっとも笑ってはいなかった。
「君が信じていると言った男は、ああいう男なんだよ。……それとも、君にも身に覚えのあることかなぁ?」
 拳を開かされた指に、黒手袋が絡みつく。
 もう一方の腕が僕の腰を掴んだのに、ぎょっとする。
「離してください!」
「ここまで来たら、君にも付き合ってもらうよ。面白いじゃないか」
 どこがっ!
 腕を引き剥がそうと声を荒げかけたところで、相手の視線とぶつかった。
 有無を言わせない、強い強い視線。
「ナルホドちゃん、のこのこ僕についてきた時点で、君はもう共犯者になったんだよ。
 ……一人だけ逃げようなんて、許さないからね」
 笑顔の消えた、表情の無い顔。
 底の知れない、何を考えているのかわからない。
 襲い掛かってくる、本能的な恐怖感。
 僕の身体から力が抜けたのをいいことに、男は警備員が座る椅子に僕ごと腰を下ろした。
 手馴れた動作で、服を脱がされる。
「あんまり声、出さないでね。検事局長には話を通してはあるけど、僕にも立場ってのがあるし」
 いったいどうなってるんだ、日本の警察と検事局は。思わず悪態をつきたくなる。
「……っ、なにを……」
「やだなぁ、わかってるくせに」
 シャツのボタンを外しながら、冷たい皮手袋が素肌を探ってゆく。
 こんなところを見られるのは僕だってごめんだ。
 声を押し殺しながら、モニターの向こう側のアイツを見上げる。

『つまらんことを考えたものだな、成歩堂』
 乱暴に抱いて、嘲笑を贈ってよこした男。
 心底蔑んでいるといった視線まで向けておきながら、自分は何人の男に腰を振ってるんだよ。


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赤青?前提局長青(R18) 4
2005年10月10日 21:44:49 222/穴があったら入りたい
「……サイテー」
「ん? 何か言ったかな?」
「……いいえ……、っぁ!?」
 冷たい指先が胸の一点をかすった。
 しまった、と冷や汗をにじませる僕とは対照的に、局長はニヤリと楽しそうに笑う。
「君もずいぶん馴らされてるみたいじゃないか。……そこの男にでも、身売りしてるのかなぁ?」
 僕のものを含めた視線が、痴態を映し出すモニターへと注がれる。
 吐き気が、止まらない。まるで、…………を見ているようだ。
 そのほうが僕も楽しめそうだ、と呟かれる低い声。
 笑顔の奥底に隠れた劣情の一片が、じわりと僕の影に零れ落ちてきた。


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赤青?前提局長青(R18) 5
2005年10月10日 21:45:19 222/穴があったら入りたい
「……くぅ……ン……」
「がんばって声出さないようしてるのも可愛いねぇ」
 好き勝手言っている男の手が、好き勝手に身体中をまさぐっている。
 ボタンをすべて外されたシャツの間から忍び込んだ手は、既にズボンのジッパーをも下ろしてその中へと侵入している。
 ダイレクトに響く刺激に、漏れ出そうな声をこらえるために、僕はモニターを見上げ続けた。
 モニターの向こう側ではアイツも同じように抱かれているのか犯されているのか。何も見るものがない分、あいつのほうが思考を逸らすことができないだろう。……それだけ、行為に没頭できるということでもあるんだろうけれど。
「ミツルギちゃん、大変そうだよね。一人で何人も相手して、さ」
 僕と同じようにモニターを見上げる男が、アイツに侮蔑の言葉を投げかける。届かないとわかっていて。僕に聞かせるために。
「ナルホドちゃん、手伝ってあげたら?」
「誰が……ァっ!」
 とんでもないことを言い出した男に反論しようとして、声をあげてしまう。
 男はハハハといやらしいほどに清々しく笑った。
「冗談だよ。今の君は僕専用だからね」
 黒手袋が弄くっていた僕自身を手放して、更に後ろへと伸びてゆく。
 目的の箇所を探り当てた指が、遠慮なく入り込んできた。
「ぐっ……」
 きもちわるい。
 人の内部を我が物顔で蹂躙する指は、当然ながらアイツのものとは違っていた。

 やっぱり、自分もやられてる分、気を遣ってくれてたのかな……。

 なんとも間の抜けたことを考えてしまう。
 音声はないけれど、モニターの向こうでアイツは鳴かされているにちがいない。
「……うーん。僕も聞きたいかなぁ」
 僕の考えていることがわかったのか、男は指を引き抜いて考え込む。
「な、……何をですか……?」
「ナルホドちゃんの啼き声」


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赤青?前提局長青(R18) 6
2005年10月10日 21:46:17 222/穴があったら入りたい
 それと同時に、指で弄くられていた箇所に、何かが入り込んできた。
「!? ぐぁ……ぁああっ!?」
 いつの間にそこまで準備してるんだよ、この人はっ!?
 何が入り込んできたのか容易に想像がついて、吐き気どころか息が止まりそうになる。
「ナルホドちゃん、ホラホラ、深呼吸深呼吸」
 相手といえば、なんとものんびりした、状況にそぐわない声音で僕に語りかけて来た。
「もっとリラックスして。僕、きつくて大変」
「んなっ……無理です……てばぁっ!!」
 痛みにこらえながら、それでもこの状況を静観している自分がたしかに存在していることに気づく。

 こんなこと、アイツにされたことだってあるじゃないか。
 なのに、何でこんなに違うんだ……?

 モニターの向こうでも、同じようにアイツが男の肉棒をねじ込まれてきつそうな顔をしていた。
 アイツの場合、口にもねじ込まれてるから、多分呼吸もままならないに違いない。
 僕はアレはやったことがないけど。


「なんだか、ぼんやりしてるねぇ。そんなに僕とのセックスはつまらないかい?」
 顔を向けられたまま涙目で睨むことしか出来ない僕に、男は不服そうな顔をしてみせた。
 平然とした顔をして、僕の中にあるこの男の欲望は暴れまわりたくてうずうずしているように思う。
「……こんなの、楽しいわけが無いでしょう!」
 何て馬鹿なんだろう、僕は。
 自分で自分を情けなく思いながら、モニター越しのアイツを見つめる。







赤青?前提局長青(R18)7(上のスレから読んでくださいまし)
2005年10月10日 21:42:36 222/穴があったら入りたい
 アイツは、僕を軽蔑しているのと一緒に、自分自身をも軽蔑していたんだ。
『検事』という存在に取り入るためにアイツを誘った僕に、自分自身を重ねていたのだろう。
 自分の望まないままに、ただ打算があるからと男に身体を捧げて。
 どんな思いで、僕にあんな言葉を投げかけたんだろうか。

 ぐちゃぐちゃとした感情から、わけもわからず涙が溢れてくる。
「こらこら、男の子なんだから泣いちゃダメだぞ?」
 黒手袋が涙をぬぐい、そして、モニターを操作した。
 ふっと、モニターの画面が全て消えうせる。
 途端に薄暗くなったモニター室に、静かなバリトンが響いた。

「君にもあの男にも、泣き言を言う資格なんてないんだから、ね?」

 途端に、僕の内部を暴れながら食い荒らそうとするように、男が腰を使い始める。
 男の言葉にどこか納得してしまった冷静だった自分は、そこから意識を手放した。


 あとは、モニターの向こう側と同じように、声を上げて啼くだけだった。